ただ,それでも。人は思い出をよりどころとして生きることを,やめられない生き物でもあるのだが。
quote:13日に誕生10周年を迎えたネットスケープブラウザは,以前の輝きを失って変わり果ててしまっているが,AOL社はネットスケープというブランドの復活に向け,準備を進めていると云う。同社はネットスケープブラウザとウェブポータルの最終仕上げを行っており,12月か1月に公開するとみられている。しかし,落ちたネットスケープのブランドを回復させるのは難しいとみるアナリストもいる。
オープンソース化されたのちのモジラ派生ブラウザではなくネットスケープのブラウザ,つまりネットスケープ・ナビゲーターを使ったことがあるかどうかで,ネット暦が長いかどぉかわかるのだと云われる。AOLに買収されてからのネットスケープブラウザを使っている人などみつけるのも難しい状態が続き,結局ネットスケープは年寄りの思い出話のネタでしかなくなった。AOLがネットスケープを復興させようとしているという話は春ぐらいにもあったが(過去記事),さて,記事にある12月か1月の発表で,なにかがあるのだろうか。
ネットスケープ社を立ち上げたジム・クラーク氏は自叙伝でなかで,速度を出してこそ安定した走行が得られると云うバイク・レースの格言は,そのままテクノロジー・ビジネスでも当てはまると述べている。1度のミスは取り戻せるかもしれないが,2度ミスを犯したらもう誰も見向きもしてくれない。そんな速度で,すべてが進んでいる。立ち止まったらもう死ぬしかない。ハードウェアもソフトウェアもネットワークもネットワーク上を流れるコンテンツも,数年前のものが使われ続けることはあり得ない。昔のものが話に出てくるのは,思い出話のなかだけだ。長く,完全に立ち止まってしまったネットスケープも,同じなのかもしれない。ただ。(refer to 『起業家ジム・クラーク』)
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